Moanin’ 喪に服する

結婚相談所 東京 20代 30代 ブログタイトル20200206

こんにちは。ブログをご覧いただきありがとうございます。
結婚相談所 東京 / 渋谷 パールウエディングのカウンセラー佐橋です。

表題が少し結婚相談所のブログっぽくないもので何卒お許しください。

結婚相談所活動でのプロフィール趣味欄に音楽鑑賞を入れる方々も多いですが、カウンセラーの私自身も様々なジャンルのものを聞きます。その中でジャズは夜に落ち着いたひと時を過ごしたい時によく聞いています。

「Moanin’ 」(モーニン:喪に服する)はJazzのスタンダードナンバーでArt Blakey & the Jazz Messengers(アートブレイキー&ザ・ジャズメッセンジャーズ)の代表曲のタイトルです。

この曲は私にとって個人的にいろいろなものと結びつく思い出深い曲です。この曲を聴くと何かを思い出すと同時に、何かをふと思い出した時にこの曲を思い出すこともあります。皆さんにもきっとそんな曲がありますよね?

自分が大学生になって上京したてで一人暮らしをしていた頃に、同じように都内で一人暮らしする高校の友人N君の家がたまり場になって、皆が何かと集まっていました。そこで初心者の私に、ジャズ好きのN君が教えてくれて、お気に入りになったのがこの曲です。皆で語らいながらいろいろなジャズの曲が掛かっていましたが、その中でも Moanin’ はよく流してくれていました。

その頃やはり友人のT君はバイクですぐの場所に住んでいたこともあり頻繁にN君宅で過ごし、そのまま泊めてもらう場合も多かったようです。

T君は堅実で勉強やスポーツもできる良い奴でした。しかし男同士だと明るく割合と饒舌なのですが、残念なことに女性の前になるとからっきしで、とてもシャイになってしまうのです。そのせいか女性と交際をするところまで進まず、良い奴だと分かっているので周りも応援をしたいのだけど、なかなか機会がないという状況でした。

そして数年の時が流れ、仲間の皆が無事に大学を卒業し、新卒就職先が決まり仕事に次第に慣れてきた冬。

N君から夜中遅い時間に電話が入ります。

「Tが風呂で倒れた!」

・・!

すぐに事態が飲み込めない私。唐突過ぎる知らせに戸惑いながらも、部屋着を素早く着替えて新宿の救急病棟に駆けつけます。

そこで目にしたのは、薄暗い病室のベッドに酸素マスクをしながら意識なく横たわるT君。そして椅子に座って一人付き添うN君。よく演劇の中で暗闇に小さくライトが当てられて、たたずむ人物の深刻なシーン、まさにそのように私には見えました。

ついこの間まで一緒に音楽を聴きながら元気に語り合っていたのに・・いったい何が起こったのか?

聞けばハードワークで少々悩んでいたT君はN君の家で泊まる予定で、その夜も風呂を借りて勢いよく湯船に浸かったようでした。それが致命的だったのです。彼は急激な体温変化によりヒートショックを起こして意識を失いました。

そして私が駆けつけた時は、既に彼の死は確定しており、後は離れた場所から病院に向かっている母親の到着待って人工呼吸器をはずすタイミングを決めることしかできないという状態でした。

我々は朝方まで付き添いました。身近な人の死を突き付けられ、命のはかなさ、大切さを考えざるをえない・・・若かった私にとっては本当にショッキングな出来事でした。

あれから長い年月が経ちました。今ではその日の詳細を正確には思い出せないようになってきています。ただ、その時ポツンとN君が言ったことは、私の胸からいつまでも離れません

「Tは女の子とイチャイチャすることもなく死んじゃったんだよ・・」

二人は過ごす時間も長かったので、きっと私が知る以上に本音でいろいろなことを語り合ってきたのだろうと思います。T君に好きな女性がいたことも聞きました。

本当に苦しくて、悔やまれることです。寂しそうに語るN君に共感して思わず涙目になってしまいました。

異性と親密なお付き合いをすることなく、生涯を閉じるということは人としてさぞかし無念だっただろうなと。いや、実際は本人にそんなことを考える時間などはなかったのだろうけど、それでもどうしようもなく可哀そうで、悲しくて、やるせなくて、胸が痛くなります。

それ以来、冬になって風呂に入る際には気にするようになりました。私は熱いお湯に浸かるのが好きで、それまでは何も考えずに豪快に湯船に身を沈めていたのですが、注意して控えることを学びました。

今でも冬になり外気とお湯の温度差が大きくなってくると、時々ハッとT君のことが頭をかすめます。なんだか

「お前も気をつけろよ」

と言ってくれているいるように感じ、慎重にと裸の体をゆっくりと湯船に沈めます。

どうかブログをご覧くださっている皆様もお気をつけてください。

生きていて健康だからこそ、愛する人を慈しむこともできるのです。そして人生の残された貴重な時間を無駄にしないように楽しみましょう。その人なりに精一杯。

あまり気にしてはこなかったのですが、この出来事も私が現在婚活の仕事に携わっていることに、もしかしたら無意識に繋がっているのかもしれないなと、先日ふと思いました。

結婚相談所 東京 渋谷 20代 30代 ブログ20200206

この冬は外でやけにこの曲が掛かるなと思っていました。調べてみるとアートブレイキー氏の生誕100年とのこと。つい先日も行きつけのカフェにいるとこの曲の印象深いリフが流れてきました。

すると何十年も前の、ジャズを聴きながら皆で語り合っていたあの頃が一気に蘇ります。

・・・

じんわりと思わずこみ上げてくるものがあり、カフェの片隅で、人知れず静かに目を閉じます。